会報『かぬち』19号(2015年5月発行)

CONTENTS

01) 支部長挨拶(JIA 沖縄支部長 島田 潤)
02) リレーエッセイ『建築家をめざして』
03) 2014年度(第18回)通常総会・講話・建築懇親会
04) RBC iラジオへの出演
05) 建築文化講演会
06) 建築家大会2014岡山『境界を越えて』
07) 2014年度JIA沖縄支部グローバル推進事業報告(2年目)
08) 国際交流委員会平成26年度事業報告
09) 琉球浪漫2014 沖縄建築展
10) JIA沖縄支部 第18回卒業設計作品選奨
11) ケンソーコンペ2014設計競技
12) JIA沖縄支部 新規会員紹介
13) 支部会員名簿
14) ジュニア会員及び法人協力会員名簿

 

支部長挨拶 

日頃から沖縄支部の活動に、ご理解と多大なご支援をいただき有難うございます。
 さて、昨年を振り返りますと、沖縄支部の、世界に特に東南アジアへのこれからの立ち位置がはっきり見えてきた年だったと重追います。グローバル事業化の活動や、海外視察を通して、より鮮明に将来への目標を共有化することができたように思います。

 一昨年(25年度)に承認を受けた県のグローバル事業化のプロジェクトを具体化すべく、ベトナムのハノイに向かいました。このプロジェクトは、県内企業のハノイにある工場をJIAの会員で構成されたプロジェクトメンバーで、新たに機能を集約した工場に建て替える計画です。実現すれば、その経験は我々にとって大きな財産となるでしょう。そのプロセスで得たノウハウを支部の共有のものとすることで、メンバーの今後の海外への進出を確かなものにしてこなうと言う試みです。それは、沖縄の企業やクライアントの海外への投資を大きくサポートすることが期待できます。プロジェクトは、継続的に承認を受けて、11月に現地ハノイでの最初のプレゼンテーションを実現することができました。今年は、いよいよ海外での設計活動として現実味を帯びてくることでしょう。新たな試みの実現に会員の力を結集しなければなりません。

 また、12月には、先述したグローバル事業に先立って、今後沖縄の建築家が、東南アジアでの設計活動をしていく為に、その先駆的タイの王立建築家協会との交流に始まった建築視察が昨年は3回目を迎え、より国際化が先進的なシンガポールへの視察旅行を行いました。世界的建築家の丹下健三氏の元で様々なプロジェクトを遂行して来られた、古市徹雄先生に同行して頂いて、ケイ・ニー・タン事務所、ケリー・ヒル事務所を表敬訪問して現在進行中のプロジェクトやその建築思想を建築家当人からインタビューできたことは、大いなる収穫でした。古市先生には、沖縄支部の顧問にも就任して頂いています。また、今後沖縄での誘致が期待されるMICE施設の見学そして、シンガポール建築家協会のメンバーとも交歓できたことは、我々の沖縄がアジアの一員であり、アジアの気候風土の中でいかにサスティナブルな建築をデザインするかという情報共有するきっかけとなることでしょう。これからの交流が楽しみです。

 また、私も審査員の一人として関わらせて頂きました県主催による「ケンソーコンペ(U-40)」の公開審査を行われました。平成23年に行われた「浦添大公園南エントラス管理事務所コンペ」平成25年の「ナングスコンペ」に続く3回目の40歳以下の建築家による実施コンペです。若手建築家の登竜門として定着しつつあることを嬉しく思うとともに、これからも継続していけるようにサポートしたいと思います。

 海外への設計活動の展開へ向けての交流と、沖縄の建築文化の創造と発展への貢献、そして若手建築家の育成というこれらの事業も今年も継続的に続けていきたいと思います。そして、今年2月には、沖縄建築士会、沖縄建築士事務所協会、日本建築家協会沖縄支部の3会と、タイムス住宅新聞の共催で「沖縄建築賞」を創設しました。審査委員長には、先述の古市徹雄先生にお願いしました。建築の社会的役割の評価が高まること、沖縄の建築の在り方を考える大きな賞となることが期待されます。

 さて、3月には、戦後70周年、海洋博から40周年の節目として、これまでの沖縄の建築とこれからの沖縄の建築をテーマに「Okinawan Identity of Architecture」と題して、県立博物館美術館で恒例の建築展を開催しました。沖縄建築のアイデンティティを確認し、現在を見据えながら未来への展望を図る試みでした。同時に、卒業設計作品選奨の公開審査そして近藤哲雄氏による講演会を行い多くの市民の方々に参加を頂きました。

今年度も、益々沖縄の建築家が、豊かで美しく魅力的な沖縄の建築とまちづくりの調停者として地域に貢献し、序々に周辺諸国へと交流の輪を広げ、将来的には東南アジアを舞台とした建築活動の具現化に期待を寄せるものです。

 

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