会報『かぬち』23号(2019年5月発行)
CONTENTS
支部長挨拶
日頃より(公社)日本建築家協会沖縄支部の活動に、ご理解とご協力を賜り感謝を申し上げます。特に法人協力会員の皆さまには「沖縄支部20周年記念事業」「第20回沖縄建築展」や「卒業制作選奨」、「沖縄未来建築塾」に多大なご支援を頂き誠にありがとうございました。
2017年度は、沖縄支部創立20周年の節目を迎え、5月26日に六鹿JIA会長を含む多くのご来賓をお招きし、記念式典、記念講演会、記念祝賀会を開催させていただきました。
記念式典では六鹿会長をはじめ、建築士会西里会長、事務所協会野原会長による祝辞を頂き、功労者表彰として歴代支部長(第1〜5代)に感謝状を贈呈いたしました。
記念講演会では、講師に世界的建築家・磯崎新氏を迎え「国境線の見えない島」をテマに沖縄の歴史や現状を鑑みながら、世界で起こっていることと比較し、建築に留まらず風俗文化芸術含めた論評を語っていただきました。学生や若手設計者を含め多くの聴講者で溢れ立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。この講演会を契機に以前より沖縄の風俗文化、地理的優位性、温暖な気候に魅力を感じて頂いていた磯崎先生が沖縄移住を決め、支部会員との交流が始まったことは本当にうれしいことです。
記念事業の締めくくりとして、祝賀会では総合事務局小野寺調査官、県宮城土建部長、城間那覇市長、松本浦添市長より来賓祝辞をいただきました。県立芸大同窓会による幕開けの「かぎやで風」の演舞や会員によるバンド演奏により、祝賀会をおおいに盛り上げていただき、改めて感謝を申し上げます。
公益事業として2017年度のテーマは、若手建築家の人材育成の実践の場「沖縄未来建築塾」と将来のアジア展開としての「国際交流事業」また、一年の事業総括としての「沖縄建築展」を継続しました。また、県主催のU-40コンペや建築設計三会共催の沖縄建築賞の運営、審査にも積極的に関わってきました。
沖縄未来建築塾は建築を創造する楽しさやグローバルな視点をもつことの重要性など、県内外の建築家を講師に招いて年間を通して学ぶことのできる場です。講演会形式のような一方向の学習ではなく、講師とのグループディスカッションを中心とした自己表現力をつけることを目的としています。
次に沖縄の建築家が将来、東南アジアを活動の場とすることをめざした国際交流事業です。昨年の9月1日〜5日の5日間、UIA大会の開催地韓国ソウルを訪れ現地建築家アトリエ訪問、大学教授による施設見学、大会レセプション参加など各国建築家と交流を重ねてまいりました。今年度で6年目を迎えるこの事業は過去に、タイ、シンガポール、香港、ベトナム、カンボジアと交流を重ねてきましたので、これまで漠然としていた海外事業がより身近に感じてきたのではないでしょうか。
去る3月に支部活動の総括となる建築展が「2018島・建築レシピ」をテーマに開催されました。建築という世界の裾野の広さを感じてもらえたのではないでしょうか。
建築文化講演会では建築家・国広ジョージ氏を講師に迎え、ご自身の建築家としての立ち位置、役割の中から貢献的国際交流とは何かを語っていただきました。未来建築塾の最終講義では建築家・末光弘和氏が「風のかたち熱のかたち建築の形」をテーマにまさに風・熱・流れの見える化により形の意味を分かりやすく語っていただきました。その他、第21回卒業設計選奨、こどもワークショップなど盛況のうちに6日間の建築展が終了しました。
今年度も建築家をめざす若者が育ち、建築界が益々活気づいていくと同時に、沖縄の建築家が豊かで魅力的な街づくりに貢献することで、職能として社会的に信頼される士となるよう活動を続けます。