会報『かぬち』27号(2023年5月発行)
CONTENTS
支部長挨拶

平素より(公社)日本建築家協会(JIA)沖縄支部の活動に格別のご高配を賜り、心より感謝申し上げます。法人協力会員の皆様におかれましては、毎年各事業に対し多大なご協力を賜り、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
沖縄支部は1997年6月に九州支部より分離し、現在支部発足26年目となります。JIAは全国に10支部あり、1県1支部は北海道と沖縄のみとなっております。
日本唯一の亜熱帯気候に属し、独特の文化圏を持つ沖縄建築を再考し、世界に誇れる建築文化の将来像を、会員と共につくりあげることを2019年度から事業計画の中心に据え支部活動を行ってまいりました。「頼れるJIA」、「学べるJIA」、「楽しめるJIA」を掲げ、地域の独自性を活かした活動や建築文化の向上に努めて参りました。
さて、昨年10月20から22日の会期にて、「JIA建築家大会2022」が、那覇文化芸術劇場なはーとを主会場として開催し、県外387人(内一般9人)、海外16人(4か国)、県内283人(内一般203人)、合計686人の方に参会頂きました。ウェルカムパーティや首里城復興視察ツアー、大会式典、シンポジウム、レセプションパーティ、エクスカーション等、沖縄を体感頂ける様々なプログラムを通して、人的交流の大切さを感じて頂けたと思います。大会テーマ「首里城の輪郭失われたことでみえてくるもの」を中心とした議論においては、その土地の持つ風土や歴史の中で、建築は記憶装置として存在し、都市や建築を構築する上での目指すべき視点について、沖縄より全国、海外へ発信することができました。大会準備や運営にご尽力頂きました関係各位に対し、この場をお借りして感謝申し上げます。
昨年度開催された「JIA・SDGs建築フォーラム2021」において提言された、「きちんとつくる」、「だいじにつかう」、「すてずにいかす」、「ちいきをつなぐ」これらは簡単な言葉ですが、実は大変難しいことばかりです。昨年沖縄支部は、おきなわSDGsパートナーに登録されました。これを機に支部会員と議論を重ね、4つの心得を胸にいだき、これからの建築家のわきまえとして心に留め、実現に向けて努力を重ねてゆきたいと考えています。
沖縄県が主催し、JIA沖縄支部や建築団体等の後援で実施しているティーダフラッグス(U40コンペ)は11回目を迎え、若手の登竜門として定着し、今年度は46作品の応募がありました。これまでに数多くの魅力的な建築が完成しています。
また、第25回卒業設計作品選奨は、高校部門4点、専修・専門学校部門3点、大学部門6点の出展があり、公開審査による白熱した議論が交わされ、学生達も大いに刺激を受けたのではないでしょうか。最優秀作品はJIA本部主催の全国卒業設計作品選奨へ沖縄代表として出品されます。その後の神戸大学名誉教授重村力先生による建築文化講演会は、復帰前後から沖縄の地域計画や建築に深く関わってこられたTeamZOOによる多様なプロジェクトを通じ、沖縄のまちや暮らし、建築が目指すべき姿について、当時を振り返りながら今後沖縄の向かうべき未来について示唆を頂きました。
結びに、次年度も「建築展」や「卒業設計作品選奨」、「建築文化講演会」、「沖縄未来建築塾」等、会員を始め建築家を志す学生や若手育成の環境を整え、JIAの公益活動を通じて魅力的なまちや建築にづくりに責任を持って関わり、社会に信頼されるよう活動を推進して参りたいと思います。